現在公開中の映画「マネーボール」。ブラッド・ピットが主演し、「ソーシャル・ネットワーク」の製作スタッフが作り上げたというこの作品を観てきた。
選手の平均年俸がヤンキースの1/3にも満たないメジャーリーグ球団「オークランド・アスレチックス」のGM(ジェネラル・マネージャー)をつとめるビリー・ビーンが、少ない予算をやりくりするなか、どのように選手を評価し、トレードとドラフトを繰り返しながらチームを編成し、プレーオフにも進出するような成績をおさめていったのかという実話をもとにしている。
題材は野球であるが、ほとんどのシーンではビリー・ビーンと彼の参謀であるポール・デポデスタ(劇中での役名はピーター・ブランド、卒業大学もハーバード→イエールに変更)が、それまで(特に野球界に長くいる人間ほど)誰もが信じていた野球界ならではの指標を疑い、本当に意味のある指標と数字を選びとり、その基準で見込みのある選手を算出し、球団に参加させ、勝ち抜いていく姿をとらえていく。
具体的にいうと彼は、攻撃面でいうと「出塁率」と「長打率」そして「四球数」を重視し、「盗塁」や「犠打」というものを軽視する。
これにより、他球団では評価が低く、年俸も安い選手を引き抜いてきて、一般的に評価を受けやすい指標、たとえば「セーブ・ポイント」などが高い(だけの)選手を高くうりぬける。
そう、彼はまさに腕利きのトレーダーのように、市場価値が実際よりも低い株を買い、価値を上げたところで売り抜けるようなことを繰り返す。
そこで大切になってくるのは、どの指標が本当に勝敗を左右する要素なのかを正確に見極めることだ。
それはどんな職種、業界にとってもあてはまる、弱者が強者に勝っていくための1つの方法論だ。だからこそこの映画は野球ファン以外の、特にビジネスの現場にいる人間にとっても興味深い内容になっている。
逆に野球ファンだと困惑することもあるかもしれない。いままで野球の指導者や解説者が語っていたこととは真逆なことが、大切なことに見えてくるかもしれないから。
あわせてマイケル・ルイス著の原作「マネー・ボール (RHブックス・プラス) 」も読んでみた。
映画でははしょられたところ、特にビリービーンが見いだしてきた選手個々のエピソードや、それぞれが活躍できた数字的根拠も詳細にまとめられている。
どんな分野にも、既存のやりかたを刷新(Reinvent)するためには、裏付けとなる理論の構築、それにもとづいた数字の洗い出し作業、+検証は有効だなとあらためて思った。
これはこれからの自分の仕事のすすめかたにも影響をあたえてくれそうな作品となりました。